歯周病で食べてはいけないもの|避けたい食品と、それ以上に大事な「食べ方」

 

歯周病と診断されて、これから何を食べていいのか、逆に何を控えるべきなのか悩んでいる方は多いと思います。結論からお伝えすると、歯周病だからといって絶対に食べてはいけない食品はありません。ただし、歯周病を悪化させやすい食品というのは確かに存在し、その多くは「歯周病菌を元気にさせる」「歯にくっつきやすい」「体の免疫を下げる」のどれかに当てはまります。そしてそれ以上に大切なのが、何を食べるかよりも「どう食べるか」です。この記事では、歯周病専門医の視点から、控えたい食品を理由別に整理し、そのうえで日々の食生活で意識したい食べ方のコツ、積極的に取り入れたい食品まで、実生活に落とし込める形でお伝えします。

「絶対に食べてはいけない」ものはない、でも「悪化させやすい」ものはある

歯周病治療をしていると、「もう甘いものは一切ダメですか」「大好きなお菓子をやめないと歯を残せませんか」と不安そうに尋ねられる方が少なくありません。まずお伝えしたいのは、歯周病だからといって特定の食品を完全に禁止する必要はない、ということです。チョコレートを一粒食べたからその日に歯周病が悪化するわけでも、飲み会で甘い飲み物を飲んだからすぐに歯を失うわけでもありません。

ただし、頻繁に、日常的に、口の中に残しやすい形で摂取している食品は、歯周病を悪化させる方向にじわじわと働きます。ここから紹介するのは「絶対に避けるべきもの」ではなく、「頻度と食べ方に注意したいもの」として読み進めてください。

悪化させやすい食品を「理由別」に整理する

一つずつ「これはダメ」と覚えるのは大変ですし、そもそも生活と両立しにくくなります。それよりも、なぜ悪影響があるのかを理解しておくと、応用が効くようになります。歯周病を悪化させやすい食品は、大きく三つの理由でグループ分けできます。

歯周病菌のエサになる糖分を多く含むもの

歯周病菌はプラーク(歯垢)の中で活動していますが、この細菌は口の中に残る糖分をエネルギー源にして増えていきます。糖分の摂取が多く、しかも口の中に長くとどまるほど、細菌が活発になりやすい環境ができてしまいます。

代表的なのは、チョコレートやキャンディー、ケーキ、菓子パン、ジュースや炭酸飲料、砂糖入りのコーヒーや紅茶などです。中でも要注意なのは、ジュース類・スポーツドリンク・微糖の缶コーヒーといった「甘さを感じにくいけれど実は糖分が多い飲み物」です。ゴクゴク飲んでしまいがちなうえに、口の中を長時間覆う形になるため、細菌のエサになりやすくなります。

歯や歯ぐきの間にくっつきやすいもの

同じ量の糖分でも、口の中に残る時間が長いほど細菌への影響は大きくなります。キャラメル、グミ、ソフトクッキー、菓子パン、ドライフルーツ(レーズン・干し芋など)は、粘着性が高く、歯と歯の間や歯周ポケットの入り口に残りやすい食品です。

盲点になりやすいのがドライフルーツで、「果物だから健康的」と思って毎日食べている方も少なくありません。栄養素そのものは悪くないのですが、粘り気と糖度の高さから、歯にとっては注意したい食品のひとつです。ポテトチップスや歯にくっつくスナックも、細かい破片が歯間にとどまりやすいという意味で同じグループに入ります。

体の免疫を下げやすい、栄養バランスの悪いもの

歯周病は細菌感染による炎症の病気なので、体側の抵抗力、つまり免疫のはたらきも進行の速さに影響します。カップ麺、コンビニ弁当だけで済ませる食事、ファストフード中心の食生活、極端な糖質・脂質過多の食事などが続くと、体に必要なビタミン・ミネラル・タンパク質が不足しがちになり、炎症を抑える力が弱まっていきます。

「特定の食品が悪い」というより、「その食品ばかりで栄養が偏る食習慣」が問題です。忙しい時期にそうした食事が続いた後、ふと歯ぐきの調子が良くないと感じる方は少なくありません。

症状があるときに特に控えたいもの

歯ぐきが腫れている、痛みがある、出血しているといった急性の症状があるときは、それに加えて次のようなものにも注意が必要です。

熱いスープや飲み物は、炎症を起こしている歯ぐきをさらに刺激することがあります。唐辛子やカレー粉などの刺激の強い香辛料も、症状が落ち着くまでは控えめにしたい食品です。アルコール、特に度数の高いお酒は、口の中を乾燥させて細菌が増えやすい状態を作り、炎症を長引かせる可能性があります。喫煙は食品ではありませんが、歯周病を悪化させる代表的な要因なので、症状のある時期は特に控えたいところです。

これらは症状が落ち着けば通常の範囲で楽しんで構いませんが、歯ぐきが不調な時期には、あえて刺激を減らすという選択が回復を後押しします。

食べてはいけないもの以上に大切な「食べ方」の3つのルール

ここまで悪化させやすい食品を紹介してきましたが、実は「何を食べるか」以上に大切なのが「どう食べるか」です。以下の3つは、覚えておくと日々の食生活の中で自然と歯周病対策になる考え方です。

ルール1|だらだら食べない、飲まない

同じ量のお菓子でも、まとめて食べて口の中がリセットされる時間を作れるかどうかで、細菌への影響はまったく変わります。仕事しながら少しずつ甘いものをつまむ、ちびちび甘い飲み物を飲み続けるといった「だらだら摂取」は、口の中がずっと糖分にさらされている状態を作り、歯周病菌にとっては理想的な環境になります。食べる量を減らすより、まず食べる頻度を整えるほうが、無理なく続けやすい対策です。

ルール2|食べたあとに口の中を整える

甘いものや粘着性のある食品を食べた後、そのままにせず、水を一口飲む、うがいをする、時間があればブラッシングをする。この一手間を加えるだけで、細菌が使える糖分の量が大きく減ります。歯磨きが難しいシーンでは、口の中を水で流すだけでも意味があります。ただし、酸味の強いもの(柑橘類、酢の物、炭酸飲料など)を食べた直後は、エナメル質が一時的にやわらかくなっているため、30分ほど時間を置いてから歯磨きをするのがおすすめです。

ルール3|よく噛んで唾液を出す

唾液は、口の中を洗い流し、細菌の増殖を抑え、pHを整える、天然のケア液のような役割を持っています。柔らかい食事ばかりが続くと、噛む回数が減り、唾液の分泌も少なくなります。逆に、噛み応えのある野菜、繊維質のある果物、根菜類などをよく噛んで食べる習慣は、それだけで歯周病対策の一部になります。食事の中で「一口を30回噛む」を意識するだけでも、口内環境は変わっていきます。

積極的に取り入れたい食品

避ける食品の話が続きましたが、逆に歯ぐきや歯を守るために積極的に取りたい食品もあります。難しく考えず、以下のような食材を意識して食卓に入れるところから始めてみてください。

歯ぐきの修復に関わるビタミンCが豊富な、赤ピーマン、ブロッコリー、キウイ、いちご、柑橘類。抗酸化作用のあるビタミンEを含むナッツ類、アボカド、緑黄色野菜。歯や骨の材料になるカルシウムを含む乳製品、小魚、大豆製品。口の中の菌のバランスを整える乳酸菌を含むヨーグルト(無糖のもの)。歯周病菌の増殖を抑える働きが期待できる茶カテキンを含む緑茶。噛み応えと食物繊維で唾液を促す、ごぼう、れんこん、大根などの根菜類。

どれか一つを頑張るというより、少しずつ取り入れて、日々の食事のバランスを整えることが、歯周病を長い目で見て抑えるコツになります。

食事の見直しは長期戦、だからこそ「変化を追える相手」が必要

食べてはいけないものを知って、食べ方を変えるのは、一日二日で終わる話ではありません。仕事の忙しさ、季節、体調、家族の状況、加齢に伴う嗜好の変化。生活が変わるたびに食習慣も揺れ動きますし、それに合わせて歯周病の状態も変化します。

ここが歯周病対策の難しさであり、逆に言えば、変化を継続的に一緒に追ってくれる相手を持つことが、最大の武器になるということでもあります。

まこ歯科クリニックの取り組み|食習慣と歯周病を、長い目でセットで見る

東京都杉並区西荻窪のまこ歯科クリニックでは、歯周病治療にあたって、単に「食べてはいけないものリスト」をお渡しして終わりにはしません。実際の生活に落とし込むには、その方の食習慣や仕事のリズム、好みまで含めて相談しながら決めていく必要があるからです。

初診で歯周ポケットや骨の状態を把握させていただいたうえで、日々の食事や間食の様子をうかがい、無理なく続けられる食べ方の見直しポイントを一緒に整理します。「甘いものは完全にやめてください」ではなく、「食べるならこのタイミングで、その後こうしましょう」という現実的な形でご提案します。まこ歯科ならではの取り組みとして、次亜塩素酸水を用いたうがいや口腔ケア(POIC)も取り入れており、食後の細菌コントロールを日常のケアの中に組み込んでいくお手伝いをしています。

そして当院が食事のような日々の習慣を扱ううえで大切にしているのが、変化を長い目で一緒に追える関係を作ることです。まこ歯科クリニックでは、初診から治療、その後のメンテナンスまで、院長である歯周病専門医が一貫して患者さんを診続けます。「最近仕事が忙しくて外食が続いています」「新しい趣味でコーヒーをよく飲むようになりました」といった生活の変化と、歯ぐきの状態の変化を、同じ院長がセットで把握しているからこそ、その時々に必要なアドバイスができます。

食事は毎日のことだからこそ、無理な我慢は続きません。半年前にお伝えしたことをただ繰り返すのではなく、今のあなたの生活に合わせて微調整していくこと。それが、10年20年と自分の歯で食事を楽しむために、地味だけれど確かな差を生み出していきます。

なお、治療が必要となった場合の回数や期間は進行度によって異なり、検査のうえで目安をお伝えします。歯周基本治療やスケーリングなどの多くは保険が適用されますが、歯周組織再生療法の一部などは自費診療となる場合があり、保険適用の範囲と費用の目安は事前に明確にご案内します。治療に伴う腫れや痛み、再発の可能性などのリスクについても、あらかじめご説明します。

歯周病を指摘されて食生活が心配になった方、避けるべきものと続けられる対策の両方を知りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

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よくある質問

歯周病だと、甘いものは一切食べてはいけないのですか

一切禁止する必要はありません。大切なのは、食べる頻度と食べ方です。まとめて食べて口の中がリセットされる時間を作る、食後に水を飲むかうがいをする、そのあと歯磨きをするといった工夫があれば、上手に付き合っていけます。「量」より「頻度」に意識を向けてみてください。

果物は健康に良いと聞きますが、歯周病でも食べていいですか

生の果物はビタミンや食物繊維が豊富で、歯周病対策としてもおすすめできる食品です。ただし、ドライフルーツは糖度が高く歯にくっつきやすいため、頻繁に食べる場合は注意が必要です。柑橘類など酸味の強い果物を食べた直後は、30分ほど時間を置いてから歯磨きをするのが安全です。

硬いものを噛んで歯に負担がかかるのは心配ないですか

よく噛むこと自体は、唾液の分泌を促し、歯周病対策として役立ちます。ただし、歯がぐらついている、噛むと痛むといった症状がある方は、無理に硬いものを噛むと歯根膜や骨に負担をかけることがあります。症状がある間は柔らかめの食事にし、状態が落ち着いてから徐々に噛み応えのある食品を取り入れると安心です。

アルコールやコーヒーは歯周病に良くないのでしょうか

適量であれば大きな問題にはなりません。ただし、アルコールを飲みすぎると口の中が乾燥しやすくなり、細菌が増える環境ができます。コーヒーも、砂糖やクリームをたっぷり入れて長時間ちびちび飲むと、糖分が口の中に残り続けることになります。飲み方と量を意識して楽しむのがおすすめです。

食生活を変えれば歯周病は治りますか

食事の見直しは歯周病対策の大切な一部ですが、それだけで治すことはできません。食生活は歯周病菌が増えにくい環境を作り、免疫を支える土台になりますが、すでに歯周ポケットに定着している細菌や歯石は、歯科での治療でしか取り除けません。日々の食事とセルフケア、そして歯科での治療とメンテナンスを、あわせて続けていくことが大切です。

この記事の監修者

内山 真子(うちやま まこ)/歯周病専門医

まこ歯科クリニック 院長。東京医科歯科大学歯学部第二保存科(歯周病学講座)を専攻し、歯周病の診断と治療を専門としています。2014年にまこ歯科クリニックを開業し、東京都杉並区西荻窪で地域の方々の歯の健康を支えています。生活習慣や食習慣まで含めて、その方に合った歯周病対策を一緒に組み立て、長く続けていける形にすることを大切にした診療を心がけています。

所属:JIADS STUDY CLUB東京(JSCT)メンバー/POIC研究会会員/日本歯周病学会会員/臨床歯周病学会会員

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