歯周病でズキズキ痛むときの対処法|痛みの原因と歯科でできる治療 歯周病専門医監修
歯ぐきがズキズキと痛んで、夜も眠れない。すぐに歯医者に行きたいけれど予定が合わない。そんなつらい状況に置かれている方も多いと思います。結論からお伝えすると、ズキズキする痛みは一時的な応急処置である程度和らげられますが、それは痛みを抑えているだけで、歯周病そのものが治ったわけではありません。痛みが出るほど進んだ歯周病は、早めの受診が大切です。この記事では、歯周病専門医の視点から、ズキズキ痛むときにご自宅でできる対処法、やってはいけないNG行為、痛みが起こる原因、そして歯科で行う治療について整理してお伝えします。
歯周病でズキズキ痛むときの対処法
すぐに歯科医院を受診できないとき、痛みを少しでも和らげるためにご自宅でできる対処法があります。あくまで受診までの応急処置として、無理のない範囲で試してみてください。
市販の痛み止めを使う
痛みが強いときは、市販の鎮痛剤を使う方法もあります。ただし、痛みが治まっても、それは薬が痛みを抑えているだけで炎症が改善したわけではありません。あくまで受診までのつなぎと考え、薬の用法・用量を守ったうえで使用してください。持病がある方や服用中の薬がある方は、念のため薬剤師や医師にご相談ください。
口の中を清潔に保つ
歯周病の原因である歯垢は細菌のかたまりで、炎症のもとになります。痛みがあっても、腫れた歯ぐきを傷つけないようやさしくブラッシングして、歯垢を取り除くことが大切です。歯ブラシだけでは届きにくい部分は、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると効果的です。刺激の少ないうがい薬を使うと、磨きにくい部分の細菌を抑える助けになります。つまようじで歯ぐきをつつくのは、傷つける原因になるため控えましょう。
就寝時は頭を少し高くする
横になると患部に血液が集まりやすく、日中よりも痛みを強く感じることがあります。就寝時は枕を重ねるなどして頭をやや高くすると、血流が集まりすぎるのを抑えられます。睡眠不足は免疫力の低下にもつながるため、痛みがつらいときほど十分な休息をとることが大切です。
歯周病でズキズキ痛むときにやってはいけないNG行為
痛みを和らげようとした行動が、かえって痛みを強めてしまうこともあります。次のような行為は、ズキズキする痛みがあるときには避けましょう。
患部を温める行為は逆効果です。入浴やサウナ、激しい運動などで体温が上がると血流が良くなり、炎症部分の圧が高まって痛みが増すことがあります。
飲酒も控えたほうがよいでしょう。アルコールには血流を促す作用があり、炎症を起こした歯ぐきの痛みを強めてしまう場合があります。
喫煙は、血管を収縮させて歯ぐきへの血流を妨げ、回復を遅らせる要因になります。歯周病の進行そのものにも関わるため、この機会に禁煙を検討することをおすすめします。
また、気になるからといって指や舌で患部を繰り返し触るのも避けてください。刺激になるだけでなく、雑菌が入り込むリスクもあります。
歯周病でズキズキ痛むのはなぜか
歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまったプラーク(歯垢)の中の細菌が原因で、歯を支える組織に炎症が起こる病気です。炎症を起こした部分には血液や膿などがたまり、内側から圧が高まって神経を刺激します。これが、拍動に合わせてズキズキと痛む理由です。
特徴的なのは、歯周病は初期から中等度にかけては痛みが出にくいことです。歯周病菌が出す物質が痛みの伝達を妨げるうえ、歯周ポケットの内側から出血するため内圧が上がりにくく、痛みとして感じにくいのです。ところが進行して膿がたまるようになると内圧が一気に高まり、強い痛みが現れます。つまり、ズキズキするほどの痛みが出ている時点で、歯周病はある程度進んでいる可能性が高いと考えられます。
虫歯の痛みとの違い
歯ぐきや歯がズキズキ痛むとき、虫歯と歯周病のどちらが原因か、ご自身で見分けるのは難しいものです。
虫歯の痛みは、冷たいものや熱いものがしみる、噛むとズキッとするなど、歯そのものに直接感じることが多いのが特徴です。一方、歯周病の場合は、歯ぐきの腫れや出血、歯ぐきが下がるといった変化が先に現れ、進行して膿がたまった段階で強い痛みが出てくる傾向があります。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、実際の判断には検査が必要です。自己判断で様子を見ず、痛みや腫れ、出血などの違和感があれば早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
歯周病の進行段階とズキズキする痛みが出る時期
歯周病は段階的に進行します。ズキズキする痛みは、おもに中等度以降に現れます。
歯肉炎は最も初期の段階で、歯ぐきの腫れや歯磨き時の出血が見られますが、骨はまだ溶けていません。軽度歯周炎になると歯ぐきが下がり始め、歯周ポケットが深くなってきます。この段階までは強い痛みが出にくいです。
中等度歯周炎では、歯を支える歯槽骨が溶け始め、歯のぐらつきや口臭、膿が出るといった症状が現れます。硬いものを噛むと痛むこともあり、ズキズキした痛みを感じ始めるのはこの頃からです。重度歯周炎まで進むと、膿がたまって歯ぐきが大きく腫れ、強く痛むようになります。歯根がむき出しになり、物を噛めなくなることもあります。
ズキズキ痛む歯周病に歯科で行う治療
痛みが強い急性期には、まず炎症を抑える処置を行います。膿がたまっている場合は切開して膿を出し、抗生物質で炎症を抑えることがあります。あわせて、痛みの原因となっている歯垢や歯石を取り除き、噛み合わせを調整して負担を減らします。こうした処置で、強い痛みは数日から1週間程度で落ち着いてくることが多いです。
ただし、これらは急性期の応急的な処置であり、歯周病が治ったわけではありません。痛みが落ち着いた後、改めて根本的な治療を進めていきます。
歯周基本治療では、歯垢や歯石を取り除くスケーリング・ルートプレーニングを行い、口の中の環境を整えます。歯周ポケットの奥深くの歯石は、複数回に分けて除去することもあります。これだけで改善が難しい場合は、歯ぐきを切開して歯石を除去するフラップ手術や、溶けてしまった歯槽骨の再生を促す歯周組織再生療法を検討します。再生療法は適用できる条件があり、骨の欠損の形や全身の状態などによって、すべての方に行えるわけではありません。歯を保存できないと判断された場合は、抜歯のうえ入れ歯やインプラントで補う方法を検討します。
なお、これらの治療には期間がかかります。急性期の処置だけでも複数回、外科治療や再生療法を行う場合はさらに長くなることがあります。治療に伴う腫れや痛みなどのリスク、後戻りの可能性についても事前にご説明します。歯周組織再生療法などの自費診療を選ぶ場合の費用は内容によって幅がありますので、検査のうえで目安をお伝えします。歯周基本治療やスケーリングなどの多くは保険が適用されますが、保険適用の範囲と自費となる範囲は、診断結果をもとに明確にご案内します。
痛みを繰り返さないために大切なこと
応急処置で痛みが引いても、歯周病の原因が残っていれば再び痛みが出ることがあります。痛みを繰り返さないためには、原因への治療と、その後の継続的なケアが欠かせません。
毎日の歯磨きでは、歯と歯ぐきの境目を意識し、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して歯周ポケット周辺の汚れを落とすことが大切です。あわせて、定期検診で自分では取り除けない歯石やプラークを除去し、歯ぐきの状態を確認してもらうことで、痛みが出る前に変化に気づきやすくなります。禁煙やストレス管理、十分な睡眠といった生活習慣の見直しも、歯周病の進行を抑える助けになります。
西荻窪で歯周病の痛みにお悩みの方へ まこ歯科クリニックの取り組み
東京都杉並区西荻窪のまこ歯科クリニックでは、歯周病専門医の視点から、ズキズキする痛みの原因を見極め、その場の痛みを抑えるだけでなく、再び痛みを繰り返さないための治療を大切にしています。急性期の痛みにはまず炎症を抑える処置を行い、落ち着いた段階で精密な検査をもとに、お一人おひとりに合った治療計画をご提案します。
痛みへの処置では、その場をしのぐだけでなく、なぜ痛みが出たのかという原因にまでさかのぼることを重視しています。膿の排出や抗生物質で急性期の炎症を落ち着かせた後、痛みのもとになっている深部の歯石を歯周基本治療や歯周外科治療で取り除き、必要に応じて溶けた歯槽骨に歯周組織再生療法を行います。さらに、次亜塩素酸水を用いたうがいや口腔ケア(POIC)で細菌を抑え、痛みの再燃につながる炎症が起こりにくい口内環境づくりに取り組んでいます。
そして当院が、歯の痛みで来院された患者さんに大切にしているのは、痛みが消えてからの過ごし方です。歯周病の痛みは、原因が残ったままだと忘れた頃にぶり返すことがあります。だからこそ、痛みが治まった後のメンテナンスまで歯周病専門医である院長が責任を持って監修し、また同じ痛みで悩まずに済むよう、定期的に院長がお口の状態を見守り続けます。その場限りの治療で終わらせず、痛みのない毎日を長く保てるよう、生涯にわたって院長が伴走していく。それが、まこ歯科クリニックが大切にしている歯周病ケアの考え方です。
歯ぐきのズキズキする痛みや腫れ、膿などでお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。急なお痛みについてもご相談いただけます。
よくある質問
歯周病のズキズキする痛みは、放っておくと自然に治まりますか
膿が排出されるなどして一時的に痛みが落ち着くことはありますが、それは歯周病が治ったわけではありません。原因が残っている限り、再び痛みが出る可能性が高いです。痛みが引いても、できるだけ早く歯科医院を受診することをおすすめします。
すぐに歯医者に行けないとき、痛みを抑える方法はありますか
市販の痛み止めを用法を守って使う、口の中をやさしく清潔に保つといった方法で、痛みが和らぐことがあります。ただし、いずれも一時的な応急処置です。温める・飲酒・喫煙は痛みを強めることがあるため避け、早めに受診してください。
痛み止めを飲めば、歯医者に行かなくても大丈夫でしょうか
痛み止めは痛みを抑えているだけで、歯周病そのものを治すものではありません。薬が効かなくなるほど進行する場合もあります。痛み止めはあくまで受診までのつなぎと考え、根本的な治療のために歯科医院を受診することが大切です。
ズキズキ痛むということは、歯周病がかなり進行しているのでしょうか
歯周病は中等度以降になると、膿がたまって内圧が高まり、ズキズキとした痛みが出やすくなります。痛みが出ている時点で、ある程度進行している可能性が考えられます。ただし進行の程度は検査をしてみないと分からないため、まずは受診してお口の状態を確認しましょう。
治療で痛みが取れた後、また痛くならないようにするにはどうすればよいですか
痛みを繰り返さないためには、原因への治療に加えて、その後の継続的なケアが重要です。毎日の丁寧な歯磨きとフロス・歯間ブラシの併用、定期検診での歯石除去や状態確認を続けることで、再発の予防につながります。生活習慣の見直しも進行を抑える助けになります。
この記事の監修者
内山 真子(うちやま まこ)/歯周病専門医
まこ歯科クリニック 院長。東京医科歯科大学歯学部第二保存科(歯周病学講座)を専攻し、歯周病の診断と治療を専門としています。2014年にまこ歯科クリニックを開業し、東京都杉並区西荻窪で地域の方々の歯の健康を支えています。痛みの原因を見極め、再発を防ぐ継続的なケアまでを大切にした診療を心がけています。
所属:JIADS STUDY CLUB東京(JSCT)メンバー/POIC研究会会員/日本歯周病学会会員/臨床歯周病学会会員
→ 監修者の詳しいプロフィールはこちら
http://www.mako-shika.jp/clinic/staff.html















